高校の物理基礎で習う浮力(F)の公式は簡単で、
F=ρVg
ρ:液体の密度(kg/m^3)
V:液体中にある物体の体積(m^3)
g:重力加速度(m/s^2)
アルキメデスの原理(水中の物体にはその物体が押しのけた水に働く重力と同じ大きさの浮力が働く)そのものだ。水中の物体に働く浮力は、物体の下面にかかる上向きの水圧の方が物体の上面にかかる下向きの水圧よりも大きいことで発生するが、この水圧の差を整理していくと上のシンプルな式に至る。
試験問題には、物体の体積L(m^3)と物体の密度ρ1(kg/m^3)が出てくるので、しばらく問題を解いていないと、あれどうだったけ?みたいなことになりそうだ。物体が水中に浮かんでいる場合は、物体にかかる重力と浮力がつり合っているので、以下の式が成り立つ。
ρ1×L×g=ρVg
液体の密度ρの方が物体の密度ρ1より大きくないと、水中に浮かばない。物体と液体の密度がわかれば、物体がどれだけ沈むかが計算できる。
人体の密度は、水の密度よりほんの少し軽いが、個人差があるようだ(水に浮きやすい人と浮きにくい人がいる)。また、息を吸った時と吐いた時で変動する。
アルキメデス
アルキメデス(B.C.287-B.C.212)は、ヘレニズム期のギリシャ人数学者で、若い時にアレキサンドリア(現在のエジプト第2の都市)で学んだようである。シラクサ(現在のシチリア島南東部に位置する都市)の王から黄金の王冠が本物かどうかを調べよとの依頼を受けて、入浴中に浮力の原理を発見したエピソードは有名だ。
しかし、科学の歴史における功績はこれだけではない。微積分は歴史的には積分が先に発見されたが、積分を発見したのもアルキメデスとされている。テコの原理を発見し、円の面積が半径×半径×円周率πであることを証明したのもアルキメデスである。
残念なことに、第二次ポエニ戦争(共和政ローマとカルタゴの間の地中海の覇権をかけた戦争)中にローマ兵に殺されてしまった。
シラクサはローマの同盟国であったのに、若き王(アルキメデスに黄金の王冠を調べよと依頼したヒエロン2世の孫)がハンニバルの誘いに乗ってカルタゴと同盟してしまったのがいけなかった。